出会いから早2年。直接会話したのは4回目

RTA(リアル・タイム・アタック)とは、限りなくゲームを早くクリアする遊び方だ。単に早くクリアする、と聞くと簡単に思えるかもしれないが、実際は0.1秒単位の正確さが求められる操作を何度も行ったり、8時間ぶっ通しでのプレイをしたりなど、技術・体力・精神力が求められる遊び方といえる。

そんなRTAだが、なかにはルール無用ともいえる「なんでもあり」のRTAもある。ばくぜろ氏・ピロ彦氏・ひっしー氏の3人は、ドラクエⅢでなんでもありRTAを行っているプレイヤーたちだ。

――改めて、皆さんはどのような集まりなのでしょうか?

ばくぜろ ドラクエⅢのRTAがきっかけです。このRTAを始めるまで、つながりはほとんどありませんでした。

ピロ彦 直接会ったこともないですし、お互いの声を聞くのもこれが4回目くらい。ほとんどチャットで交流しています。

ひっしー ドラゴンクエストⅢのRTAで一切の制限を設けない、なんでもありルールのプレイヤーの一人が作ったチャットルームがあって、もともとRTAを行っていたそれぞれが自然と集まった感じです。

――なんでもありって、どこまで許されているんですか?

ピロ彦 ゲームソフトのプログラムを解析したり、数あるゲーム機本体を厳選して最速の1台を探し出したり。最近ではファミリーベーシックでタイピングしてエンディングを呼び出しています。

ばくぜろ なんでもありといっても、事前に用意したセーブデータを利用してクリアするといったことは許されていません。それ以外であれば、途中でカセットを入れ替えたり、本体に電気ショックを与えたりしても大丈夫です。

『ドラクエⅢ』を遊び尽くす変態級達人たち。350台を超えるファミコン本体収集で見つけた大発見とは…!?_1
ばくぜろさんの「なんでもありRTA」プレイ環境。クリアをめざすのは本体に刺さっているドラゴンクエストⅢだが、途中に周りの3つのカセットへ入れ替えてエンディングを呼び出す
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――プログラムの解析など……やはり学校やお仕事でも専門的なことを?

ピロ彦 そういうわけではないですね。一応、プログラミングは学校でも勉強していましたが、どちらかというと必要にかられて身に付けたというか。15年くらい前からパソコンの仮想環境上でゲームをプレイし、スーパープレイや理論上の最速クリアをめざす動画を作っていて、その過程でプログラムも学んでいきました。

ばくぜろ 私も理系といえば理系出身というくらいで。今はシステムエンジニアとして働いていますが、それがRTAに役立ったとか、反対にRTAをやっていたからエンジニアになったとかはないですね。

ひっしー 私は全然関係なくて、ヨーヨーやけん玉、コマの製造販売を行う会社に勤めています。